消費者行動やニーズが変化する中、顧客がシームレスにジャーニー(体験プロセス)を進められるよう、企業が対応し続けるのは簡単ではありません。カスタマージャーニーを活用し、カスタマーサービスに能動的なアプローチを取り入れる方法を見ていきましょう。
カスタマージャーニーとは?
カスタマージャーニーとは、顧客がサービスや商品を購入するまでのプロセスを旅に例えたもので、直訳すると「顧客の旅」になります。
個別にデータを見るよりも、ジャーニーは顧客の観点から体験を総合して一つにまとめるため、何が起こっているかを明確に把握できます。カスタマージャーニーを活用することで、カスタマーサービスやウェブサイトのデザインなどを改善できます。
カスタマージャーニーの具体例
著者の実際の体験に基づくカスタマージャーニーの具体例を紹介します。
- 使っていた食洗機が壊れる。
- ネットで近所の修理店を探し連絡するものの、修理ができない状態と言われる。
- ネットで新しい食洗機を検索。比較サイトで値段やメーカー、配送日、レビューなどを確認。
- いつも利用している販売サイトへ。しかし、「取り付け工事」というオプションがサイト上で選択できない問題が発生。
- 販売サイトのチャットで問い合わせをするが、期待する回答が得られず、電話での問い合わせをすすめられる。
- 電話をするのが億劫なので、別の販売サイトを検索。同じ製品で、やや値段は高いものの、取り付け工事のオプションが選択可能。購入を決定。
ここで重要なのは購入決定までに、実際の店舗に行くことなく、商品レビューや商品説明などネットで情報収集をしたことです。
この体験から言えるのは、サイト上の機能やカスタマーサービスが不十分だと、企業は容易にビジネスの機会を失ってしまうということです。私のように多くの消費者は、スムーズなサポートや情報へのアクセスを求めています。しかし、企業がそれらを提供できない場合、消費者は簡単に他社へと乗り換えてしまうのです。
カスタマージャーニーを改善するには
ビジネス特有のカスタマージャーニーを理解して記録することで、提供したい体験に基づき、改善できるカスタマージャーニーマップを作成できます。顧客の立場に立って見てください。見違えるように成果が上がります。
ただし、ジャーニーは商品購入に限らない点にご注意ください。ネットバンキングなどのオンラインサービス、カスタマーサポートの場合もあります。もちろん、タッチポイント が多いほど、カスタマージャーニーマップがより複雑になります。同時に、体験の価値が高まり、より大きな成果が得られます。
カスタマージャーニー作成のヒント
カスタマージャーニーを理解する上で陥りがちなのが、一直線のジャーニーを作りたがることです。ジャーニーを、デジタル世界での探検ととらえてください。人々は情報収集の前に、決定を下すこともあります。「カートに追加する」をクリックするだけで、何も考えずに商品を購入した経験があるかもしれません。
人々がデジタル世界を探索して決定を下す際に、ジャーニーは行動、決定、情報収集、追跡などの間で行き来することがあります。ソリューションが統合されていなければ、こうした行き来をすべて把握することはできず、顧客が目的地へたどり着けるようにするための知見を利用することもできません。
カスタマージャーニーマップが示すこと
顧客が企業と接触する瞬間からジャーニーを全体的に把握するには、カスタマージャーニーマップが有効です。このマップは、顧客が商品の購入を検討し、購入を決定するまでの、タッチポイントの集合体を示しています。カスタマージャーニーマップは、以下のようなジャーニー全体の情報を明確にできます。
- 行動:情報収集や比較検討など顧客がすべての段階で行う行動
- 動機:顧客がジャーニーにおける特定の段階を開始し、継続する動機
- 障壁:価格、プロセス、ユーザーエクスペリエンスの問題、情報の不備など、カスタマージャーニーを複雑にする要素
- 疑問:ジャーニーを通じて、顧客が各種のタッチポイントで感じる可能性のある、あらゆる不明瞭さ
こうした要素を特定することが、すべての顧客のジャーニーを改善するための一歩です。顧客が何を行い、なぜそうしているか、どこでサポートを必要としているかを理解できれば、能動的に変更を加えて、問い合わせを受ける前にエクスペリエンスを改善できます。
カスタマージャーニーから得られる考察
カスタマージャーニーを深く理解すると、多くの貴重な考察が得られます。これは複数の方法でビジネスに影響を与えます。
顧客のニーズ、要望、期待をより根本的に深く理解できます。人々がどこへ行き、なぜ行こうとしているのかを理解できれば、サポートシステムを改善できます。
必要に応じて、運用上の課題を検出して、問題を修正しやすくなります。これは顧客のエクスペリエンス改善に留まりません。顧客は、デジタルジャーニー、店舗、電話などすべてのタッチポイントで、どこを改善できるかも教えてくれます。
同じカスタマーエクスペリエンスのジャーニーに沿って、組織全体を整合させましょう。組織の足並みがそろえば、顧客の要望に基づいて、すべての顧客へ最適なデジタルジャーニーを提供することが容易になります。
カスタマーエフォート*を理解しましょう。これは、顧客満足度とロイヤリティを示し、これらの要素に関連するビジネス目標を推進するのに役立ちます。
注*カスタマーエフォート(顧客努力)とは、顧客が商品購入やサービス利用のために要した手間や時間を意味します。カスタマーエフォートスコア(顧客努力指数)またはCESとしても知られます。
カスタマージャーニーを成功に導くヒント
カスタマーエクスペリエンスを俯瞰的にとらえるのは簡単ではありません。数多くの試みが、失敗に終わっています。なぜでしょう?最もよくある理由は、顧客の行動を十分に見ていないことです。デジタルカスタマージャーニーには、必ず理解しなければいけない障壁が数多く存在します。
成功を収めるには、企業は次の条件を満たさなければなりません。
- カスタマージャーニーで可能な限り、顧客の立場に立つ。
- デジタルデバイスの違いや使われ方を調べ、その違いが購入決定に及ぼす影響を考慮する。ここでは、モバイル優先のデザインが非常に重要となります。
- 顧客が好みの方法で情報を得られるように、ジャーニーや複数のステップで、数種類のコンテンツを用意する。
- 顧客をジャーニーの最初からサポートし、あらゆる場面で利用できるようなエクスペリエンスを提供する。
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NICEのプラットフォームを使えば、面倒な作業はすべて終わりです。顧客優先のコンタクトセンターソリューションを提供します。顧客の応対から指標管理まですべてを扱い、カスタマージャーニーを最初から最後まで把握することができます。NICE CXoneを使用すれば、次のようなことが可能になります。
- 組織内の連携を強化し、カスタマージャーニーを改善
- 顧客努力をより深く理解し、顧客満足度と顧客ロイヤリティを高める
- デジタルカスタマージャーニーと企業全体の両方で、運用面およびその他の問題を特定して解決する
- 今日の顧客のニーズに応える、理想的なオムニチャネルエクスペリエンスを提供する
コンタクトセンターにおけるカスタマージャーニーソリューションの詳細や製品デモについては、弊社までお問い合わせください。